剽窃

 新年度になって、初年次教育の教科書として本学の教養部が作成した『大学で学ぶために』というブックレットを配布する頃となった。大学生としての学ぶ意味、学び方、学ぶ心構え等が良くまとめられていて、出版すれば他の大学でも使えそうなものだと自信がある(私は執筆していません)。

 さて、その中に「剽窃」について書かれていて、まずはこの漢字の読み方から教えるのだが(笑)、要するにレポートを書くときにはコピペはいかんと書いてある。当たり前の話である。昔だって参考文献からそのまま内容と表現を借用する学生レポートはあったろうが、手書きの頃なら少なくとも自分の手で書き写すという手間があるだけ、まだ何かしら学び得るものはあったはずだ。

 ところが今はただコピペをするだけである。数秒で他人の膨大な時間と労力がかけられた知的結実をあたかも自分のものとするのは倫理的にも容認はできない。今は某科学者の行為がマスコミで断罪されているが、自然科学の分野だけではなく、人文科学でもそれに類する行為は見受けられる。新聞報道ではお隣の大学でもそのような行為が発覚し、辞職に追い込まれたようである。

 10年前に授業の準備で、とある研究者の紀要論文を読んでいたときに、「どこかで読んだ表現だな」と思って、確認したら、ある書籍の中の表現とまるまる一緒だったことに気付いた。告発することはしなかったけれど、私がしなくてもきっとどこかでボロは出ていたはずだ。

 研究に携わり、教育を生業とするものとして、そして、簡単にコピペができる時代だからこそ、「お天道様は見ている」ということを決して忘れてはいけないと思うのである。

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