英語は母音

 今朝の広告で「世界的に通じる英語の子音の発音法を公開」という文字が目に飛び込んできた。どうも日本の英語コンプレックスの一つに発音がある。英会話学校のCMには必ず「ネイティブのような発音を身につけましょう」のような表現があるのだが、そもそも英語で難しいのは子音ではなくて、母音だ。

 staffとstuffという語彙の違いはæといういう前母音とʌという中母音という違いで、日本人にはなかなか違いが分かりづらいし、発音も難しい。またɒのように後母音もある。子音はかなり弁別的な特徴が分かりやすいし、発音方法さえ一度学べばかなりできるようになるが、母音だけはなかなか練習しても難しい。自分自身、子音の発音は苦にならないが、母音はいまだに難しさを痛感する。

 しかし、問題は子音か母音かの問題ではない。それは日本人に根強い「ネイティブ信仰」だ。ネイティブのような発音にしなければ、英語は通じないという信念がそこにあるようだが、考えてみてもらいたい。英語を使う人口は世界で30億人、そのうちネイティブの割合は15%弱くらい。しかもネイティブと言っても地域差があり、イギリスの地域方言にはわかりずらものも沢山ある。newspaperをニューズバイバーと発音する地域もあるのだ。それも「ネイティブ」なのだ。scheduleはアメリカはスケジュールの発音だが、イギリスではシェジュールの発音だ。そのどちらもネイティブだ。

 もっといえば、英語のお膝元のアメリカでは英語が話せないアメリカ人が多数で、話者人口で考えればすでにスペイン語が第一言語になっている。イギリスのロンドンの下町ではコックニーという英語を話す人が多く、標準英語の知識ではわからない。

 今や英語は世界言語で、それ以外にもさまざまな変種がある。確かにモデルとして、BBCやCNNの英語を使って学習するが、我々が求めるゴールは「ネイティブ」になることではなく、我々にとって意見が通じる語彙や表現法を学ぶことである。発音だけにとらわれているうちは、ほんとうに目指す語学の勉強がわからない。ソニーの創始者で会った盛田昭夫氏の英語に世界が耳を傾けたのは彼の日本人発音のためではなく、彼が語っていたテクノロジーとその未来の姿だったという内容のためだったことを忘れてはならないと思う。

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