本と食

  昨日のブログで書いた本を『33年後のなんとなく、クリスタル』を一気に読了した。この本は前作以上にレストランやワイン、フランスと料理、イタリア料理、果ては和食と次々に現れ、時に懐かしいアンナミラーズの名前が出ると、あのウェイトレスの胸元が自動的に頭をよぎる。
  活字を追うたびに胃袋が反応して、シャンパーニュの話が蕩々と出るたびに、『飲まねばならぬ!食わねばならぬ!』という気持ちになる。考えてみると活字に直接訴える作家は少ない。私が最初に活字を胃袋で受け取ったのはヘミングウェイだ。彼の『武器よさらば』を読んだときに、初めて『ワインを飲まねばならない!チーズを食べねばならない!』と感じたのは大学生の時だった。
   大学院生の時に東海林さだお先生の作品に触れた衝撃は大きく、作品を読むたびに『まずは、ビールグビグビだかんね!うぐうぐだかんね!カツがっつりだもんね!』となる。この当時に夢中で読んでいた村上春樹は全く食欲に訴えなかった。
   開高健は胃袋じゃなくて、肝臓に訴える作家だった。男の生きる道と思いつつ、彼の作品を読んだあとには必ず、ウイスキーを飲まねばらなぬと思ったものだ。きっと、今読み返せばまた、そうなるだろう。  久しぶりに胃袋に訴えてくれた田中康夫ちゃん。なまったるい喋り方は嫌いだけれど、今度の活字はいいですね。一つ筋が通って、骨がある。うん、ビストロで肩の力を抜いてワイン片手にき生ハムにかじりつきたい。そう思わせてくました。

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