焼き肉屋の至福

 無性に焼き肉が食べたくなるときがある。ステーキでも、カツでもなく、焼き肉という時がある。何はなくともビール、キムチ、ナムル、カルビ、ロース!と無条件に叫びたくなるときがある。そういう時は、どちらかというと、「今日は血圧が高いですね。食生活に気をつけてくださいね」と医師から注意されて、しげしげと帰宅するという場合ではなく、「まあ、心配事も一段落したんだし、ここは自分にやったじゃないかのご褒美を!」という時が多い。

 ところが、ここで問題が一つある。良い焼き肉屋がなかなか無いのだ。もちろん、高級店でそれなりのお金を出せば良いところは名古屋でも何件かあるし、かつて通っていた店もあるが、行けば数万円というのはなかなか難しい。それくらいなら、アウトバックのステーキを食べた方が満足感もあるし、コストパフォーマンスもいい。でも、やっぱり、塩タン、カルビ、ロース、ハラミ、ミノ、と味も歯ごたえも様々に楽しめるのが焼き肉屋の良いところだし、網で焼くという行為もなかなかに心をくすぐる行為だったりする。

 考えてみると、久しく焼き肉屋に行っていない。高校に合格した息子も「焼き肉、生きたい!」と吠え叫ぶことが多くなり、昨夜ネットで探索し、「そういえば、良く通り沿いに焼き肉屋があったっけ」と気づき、昨夜行くことになった。結果としては、かなり良い肉で、ロースなのに、この脂の差しはいったいどういうことだ?というくらい。カルビも中落ちの部分が割とリーゾナブルな価格だし、これは良いところを見つけたという「当たり」感を感じることができた。全体的には少し甘めの味付けだったけれど、やはり、焼きたてを網から箸でとって、はふはふと口にいれ、ムングとかみ砕き、グビッとビールで流し込み、プハーッっと一息するのは焼き肉屋だけで許された至福の人と時と言えよう。