歌と歌手と歌い方

 先日、テレビの歌番組の録画を家族で見ていた。食事時、テレビが何もなければ録画したものを見るのが我が家の通例。そこで先日12時間放送していた歌番組を見る。そのなかで「翼をください」が歌われたのだが、歌ったのは、素晴らしいテノールを聞かせる秋川雅史氏。伸びがある力づよい歌い方を聞くと、いつも心揺さぶられるのだが、今回は、まったくそれを感じない。むしろ、違和感を感じる。なぜだろうか。「翼をください」の歌詞を考えると、きっとこれは体や心が自由にならずその自由への願望を大空にはばたくことに夢見る内容だと思う。だから、思春期で悩む中学生が合唱すると、心にジーンとくるんじゃないだろうか。自分が子供の頃、病弱で、何度も病院に入院し、その病床で空を見上げていたことを思い出す。そういうなんというか、弱々しさの中からの叫びというイメージを私はもっている。

 だが、秋山氏の力強い歌声は、健康そのもので、なんだか歌のイメージに合わないんじゃないかと思ったのだ。「健康そのもの、精神的力強さもあります。悩みなんてないです。たまに一升瓶の半分くらい酒飲んでも健康診断ではΓなんとかって値も正常です」って感じの人が歌うと、「違うんじゃない?」と思ってしまう。

 家族にそれを告げると、妻には「何、バカなこと言ってるの」と冷ややかな目で見られてしまい、息子には相手にされず。娘にだけは大受けしてしてしまった。「なるほど、確かに」と得心すらされてしまった。まあ、そういうことを考えつつテレビを見てしまうので、私はスポーツ観戦とグルメ番組しかテレビは合わないのです(苦笑)。