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不潔都市ロンドン

 『不潔都市ロンドン』という本を読了した。細かい字で、370ページほどある大著で、読み終わるのに数週間かかるかなと思ったら、3日ほどで読了した。内容は19世紀のロンドンがいかにゴミ、汚物、汚泥、死体、糞尿、煤、公衆トイレなどに対応して来たかという話だ。このころのロンドンは階級社会ということもあり、貧民層では一生風呂に入らずに過ごす人も珍しくはなかったというのには驚いた。道は馬の糞尿にまみれ、空は煙害に汚され、街中も人間の汚物さえうまくしょりできていなかったなどと、今のロンドンからは想像できない。

 面白いのは、歴史的にこうした取り組みが教区ごとに民間の力ではじまったということ。最初から公的な対応ではなくて、公衆トイレの設置さえ投資家に資金を募り商業的に始められたという点。こんなことを読むとヨーロッパでは公衆トイレでお金を取るというのも納得がいく。読んでいると、産業革命による急速な社会変化と都市化がゴミの問題を顕在化させることがわかるのだが、これはちょっと前までの日本にも言えたことだと思うし、ゴミの種類こそ違え、今の都市のゴミの問題は焼却場の設置一つでも揉めるほど難しい問題。都市はいつだってゴミの問題とは縁が切れないんだろうなと歴史的な観点から学ぶにはいい一冊だと思う。

 なお、食事の直前とか、食事をしながら読むことはオススメしない。