紙の新聞とリアルな書店

 ネット時代に席巻され、紙の新聞を購読する人が減っている気がするし、またネット販売の人気で、リアルな書店がどんどんと減っているとの報道がある。この二つは関係ないように思えるけれど、大きな共通性がある。

 ニュースをネットで見る人は関心のあるジャンルだけを見るだろうし、ネットで本を買う人は署名とか著者でターゲットを絞って買うはずだ。つまり両者ともターゲットが絞られていて、余計なこととか、関心のないことが目に飛び込んでくることはない。言い換えれば、最初から知への関心が狭い。ところが紙の新聞もリアルな書店も目の中には関心のないもの、知らないものが自然に飛び込んでくる。そこから、「あれ?なにこれ?こんなこともあるの?」と今までに知らなかったものへの関心が喚起される。実はこのような情報の飛び込みによって知識とか、情報の領域が広がる。そんなことを繰り返して、改めて知っていたことが数多い。ある時には装丁の美しさだけで買った書籍もあるし、タイトルに惹かれて買ってはみたものの、全然面白くなかった、あるいは反対にタイトルはつまらないのに、目次をめくって購入したなんて本もある。

 本だけではなくて、模型屋でも、電気屋でも、リアルな場所に行くことで知ることもある。また人間でも同じ。学会やら勉強会でたまたま知り合った人から教えられることは多いし、そこから広がる人間関係がどれほど自分を豊かにしてくれたことか。

 リアルは時間もかかるし、面倒なことも多けれど、そこから接することができる「余剰」こそ、自分の人生を豊かにしてくれる。「時間の無駄だ。面倒だ」と言っていわず、余剰を楽しもうじゃないか(お腹についた脂肪という余剰は大問題だけどね…)。