源氏物語の最新英語翻訳版の印象

 今、来月のオーストラリアでの研究発表に向けて、源氏物語の6番目の英語翻訳版を分析している。2015年にWashburnという人によって翻訳された。今回は冒頭から、源氏の誕生までの散文と、桐壺の中にある9つの和歌について分析している。実は、それ以前の5種類のものについて、散文は2010年、和歌については去年研究発表をしたので、今回の発表はそれを補足するものになる。

 詳しくは、後日論文の形で発表するが、なかなか興味深いのは冒頭の出だしだ。

In whose reign was it that a woman of rather undistinguished lineage captured the heart of the Emperor and enjoyed his favor above all the other imperial wives and concubines?

なんと、Washburn訳では、「それほど際立ってはいない家系の女性が帝のハートをがっちり掴んじゃってます」って書かれている。確かに、帝に気に入られて、帝は夢中になったのだから、その通りなのだけれど、どうも関節な表現の中に優雅さを感じる日本人としてはあまりにもストレートな表現にちょっと違和感を覚えるのではないだろうか。なんだか、積極的な女性なのかという印象を与えるのではないだろうか?あまりにもぶっきらぼうに英語訳したSeidenstickerでもIn a certain reign there was a lady not of the first rank whom the emperor loved more than any of the others.くらいの表現なのだから、今回の英語訳には色々な評価が下されるのではないだろうか。

 さて、みなさんはどうお感じになりますか?